カウントダウン
(杉田忍、柳田貴史、清水美保子、柏木愛美……。

同じクラスの生徒が別々の理由で四人も死ぬなんて前代未聞だ。

何でこんなことになったんだ?

今まで、オレの教師生活に問題なんかなかったのに……)


オレは教師という職業にそれほど熱意を持っていない。


たくさんある職業の中で、安定していて、自分にもできそうだと思えた職業が教師であっただけの話だ。


学校内で起きることには深く関心を持たず、さらりと無難に授業や生徒指導を行う。


それがオレの教師スタイルだ。


そんなオレがクラスのいじめ問題なんかに口を出したいわけがない。


どこの学校にもいじめはある。


それは学校という閉鎖的な空間にたくさんの生徒が集まる限り仕方のないことなのだ。


オレはずっとそう思って、いじめ問題とは深く関わらずに教師をしていたのに……。


自分が担任を務めるクラスがめちゃくちゃになっていくのは本当に最悪の気分だ。


もちろん、オレの教師としての評価も下がるだろう。


でも今はそのことよりも、忍の呪いのことが気になっていた。


忍の呪いが本物で、忍のカウントダウンが止まらないとしたら、オレは明日中に死ぬかもしれない。


忍をいじめから救わなかったことが原因で、忍から憎まれて……。


オレはそんなことを思うと、ゾッとして悪寒が走り、恐怖の中で目を閉じた。


オレはまだ死にたくない。


忍なんかの呪いのせいで。
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