カウントダウン
でも、そんな私の幸せな夢は一瞬で覚めてしまった。


次の日、学校から帰ってくると、母がいなくて、外が暗くなっても帰ってこなかった。


昨日は優しかった父も不機嫌そうな顔で酒を飲み、私に話しかけようともしなかった。


それは今までのギスギスした家庭とも違う感じたことのない違和感だった。


自分が気づかないでいるうちに、この家の何かが大きく変わった予感がした。


私はテレビを見ながら酒を飲む父に、母のことを訊いていた。


「お父さん、どうしてお母さんが帰ってこないの？

お母さんは仕事なの？」


私のその問いに対する父の答えは冷めていた。


「あいつはもう帰ってこない。

あいつとオレは離婚したんだ。

あいつはこの家が嫌いなんだ」


父の衝撃的な言葉に私は動揺して、ずっと泣いていたのを覚えている。


お母さんがもう帰ってこないってどういうこと？


それって本当なの？


そんなの絶対に嫌だ。


お母さんがいなかったら、私は誰に頼ればいいんだろう？
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