カウントダウン
私がときどき家族と過ごしたときを思うとき、何故だか私は、クラスで目立たない地味な女子生徒、立花優子の顔を思い浮かべる。


私は立花優子が大嫌いだ。


あいつは私と同じように取り柄のない女なのに、両親に愛されていると感じるから。


学校の行事で来る立花優子の両親は、いつも笑顔でチビなあいつを見ている。


そして、家族と目配せしただけの優子から、家族の幸せを感じたとき、私は優子に激しく嫉妬して、優子を憎いと思ってしまうのだ。


私の家庭と優子の家庭は全然違う。


それはまるで光と闇ほどに違っていて、比べることすらはばかられるのだ。


私にはそれが許せない。


立花優子は私がどんなに必死に手を伸ばしても手に入れることができない大切なものを持っているから。
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