カウントダウン
「カウントダウン……」


忍が不気味にそうつぶやいたとき、私は恐怖で息が詰まった。


「立花優子……。

お前は三日以内に必ず死ぬ。

カウントダウンは止まらない」


私が三日以内に死ぬってどういうこと?


何で私が死ななくてはいけないの?


なぜ? なぜ? なぜ?


私の心の中に未来への不安と恐怖が広がっていく中で、忍は声を高らかに笑っていた。


それはまるで、これから来る私の不幸を楽しみにしているかのように見えた。


私はそんな忍の笑い声に気が狂いそうになりながら、忍が額から血を流した顔を近づけてきたことにハッとして布団から飛び起きていた。


(さっきまでのは、夢……?

良かった……。

今でも心臓がドキドキしている。

だけど、本当に嫌な夢だった……。

忍の恨みや憎しみが私にまで届いてきそうで……)


私は忍が嫌いだったけど、忍へのいじめに参加することはなかった。


それはきっと自分も弱い立場の人間で、人をいじめたりするようなタイプではないからだ。


そんな大人しくて、誰とも争わないスタイルの私が忍に憎まれているとは思えない。


だからさっきの夢は、学校でウワサになっている忍の呪いとは関係なくて……。


私は怖い夢を見て乱れた呼吸を整えながら、自分の気持ちを落ち着かせようと目を閉じた。


ここ数日で、私のクラスからたくさんの死者が出た。


柳田貴史、清水美保子、柏木愛美……。


この人たちは別々の場所で死んだのだけど、この三人の死が無関係だとは思わない。


この三人が死んだ理由は、きっと忍の怨念に違いない。


私たちのクラスはきっと忍に呪われている。


忍は自分をいじめたクラスメイトたちを今でもきっと憎んでいるのだと、私は思う。
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