カウントダウン
「大翔が元気がない理由はわかるよ。

私と三日も会ってないことと、それから……、学校でのことだよね。

それにしてもさ、大翔のクラスの生徒ばかりが死ぬっておかしいよね。

まだ中学生なのにさ」


宮国中学の三年二組の生徒が次々と死んでいることが、この辺りではウワサになっていた。


そして三年二組の生徒が死んだ原因が忍の呪いかもしれないと言われていることも。


大きな悩みを抱えているオレにとって、軽い口調でオレのことを心配してくれている玲子の気持ちはうれしかった。


「オレのクラスの生徒が死んだことに責任を感じているよ。

きっと生徒の親の間ではオレの悪いウワサも立っているさ。

でも、オレが何とかする。

今の負の連鎖を断ち切るよ。

絶対に」


「流石、大翔。

かっこいいこと言うんだね。

期待してるよ」


「当たり前だろ。

これからも教師を続けていかなくちゃいけないんだから」


「そうだよね。

私たちの幸せな未来のためにも頑張らなくちゃね」


「茶化すなよ。

オレは真剣なんだからさ」


「ゴメン、ゴメン。

でも、大翔が元気になったみたいで安心した。

私は夜勤明けだから、もう寝るね」


「うん、わかった。

それじゃ……、お休み」


「うん、お休み」


玲子は明るい声でそう言うと電話を切った。


オレは軽く息を吐くと、スマホを机の上に置き、これから自分がすべきことを考えていた。
< 142 / 294 >

この作品をシェア

pagetop