カウントダウン
(忍の遺書を見つければ、忍の呪いはきっと終わる。

問題は忍の遺書が本当にあるかだけれど、オレは必ずあると思う。

だって忍の遺書がないのなら、忍が「遺書を探せ」なんてメッセージを寄越すわけがないから)


忍の遺書はきっと忍の家にあるとオレは思った。


普通、遺書というものは他の人に読んでもらうためにあるものだ。


だからそれを隠す必要はなし、隠す理由も見つからない。


だとしたら、可能性は二つだ。


忍の父が忍の遺書を隠したか、それとも忍の父が家にある忍の遺書に気づいていないか。


この二つの可能性のうち、後者が正解であるとオレは思った。


忍は父親から愛されていなかった。


忍の父は酒浸りで、忍に興味などないのだ。


オレはそんなことを考えながら、机の上にある時計に目を向けた。


今は午前七時三十分。


忍の父はもう起きているだろうか?


忍の父は今も仕事をしていないはずだ。


午前九時になったら行動を開始しよう。


オレは絶対に忍の遺書を見つけてみせる。


呪いの連鎖を断つために。
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