カウントダウン
午前九時、忍の家の電話番号を調べておいたオレは、予定の時間が訪れたと同時に電話のベルを鳴らしていた。


本当なら、仕事もしていない社会不適合者の忍の父と話すことなど何もない。


だけど、今の切羽詰まった状況の中で、忍の呪いを解くヒントは忍の父しか持っていない。


忍の呪いを解かなくちゃ、呪い殺される確率が高いと思う。


迷っている時間も余裕もオレにはなかった。


オレは柳田貴史や清水美保子や柏木愛美のように、忍に呪い殺されるわけにはいかないから。


オレは忍の父はなかなか電話に出なかった。


もしかしたら忍の父は、もう家から出ていったのでは?


だとしたら、マズイ。


早く忍の遺書を見つけたいのに……。


電話のベルが鳴っている数秒の時間をまるで永遠のように感じていた。


頼むから電話に出てくれ!


オレが強くそう願ったとき、ようやく電話が繋がった。
< 144 / 294 >

この作品をシェア

pagetop