カウントダウン
「フフフッ、フフフッ……。

ハハハハハハッ……」


オレが振り返ったその先に血で赤く染まったセーラー服を着た忍がいた。


額から血を流し、目を見開きながら笑っている忍は本当に不気味で、恐ろしかった。


オレは忍と目が合うと、心臓が飛び跳ねるほどにドキリとして、反射的に立ち上がっていた。


そして忍と目を離さず、ゆっくりと後ずさりをしながら、忍に話しかけていた。


「何でだよ……。

どうしてオレなんだ……。

お前をいじめていたのは、柳田とか清水とか、うちのクラスの生徒だろ?

オレは何もしていない……。

オレはお前に何もしていない」


忍の呪いが発動するのは今日の夜だろうと思っていた。


呪いが発動するのが今日ならば、日付が変わる寸前まで猶予があると信じていたから。


でも、それはオレの勝手な思い込みに過ぎなかった。


オレは今、リアルに忍の殺意を感じていて、死への恐怖を意識し始めていたから。


オレの心の中で不安と恐怖が渦巻く中、忍が後ずさりをするオレの歩調に合わせるように、オレの方へと近づいてきた。


オレはまばたき一つしない忍の表情の不気味さに恐怖し、小刻みに体が震えていた。
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