カウントダウン
「私は知っている……」


オレの真後ろから忍の不気味な声が聞こえてきた。


オレは忍の声に生きた心地もしないほどにゾッとしていた。


「逃げ場のない絶望を。

誰にも助けてもらえない悲しみを」


オレは忍がいるこのアパートから出たくて、必死にドアノブをひねり、玄関のドアを開けようとしていたが、どうしてもドアが開かなかった。


そしてオレが、玄関のドアが開かないことも、スマホの電波がないことも、きっと忍の呪いのせいだと気づいたとき、急に背後から熱風が吹いてきた。


オレは普段ではあり得ない違和感に怯えながら、ゆっくりと後ろを振り向いていた。
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