カウントダウン
「助けて!

誰か、助けて!」


オレが目一杯の声を出して叫んだその言葉は、きっと誰にも届いてなかった。


今、この世界中で、オレが炎に焼かれて死にそうなことを知っている人は誰もいない。


だから、誰もオレを助けには来るはずがない。


こんなバカげた最後なんて本当にあっていいのだろうか?


オレみたいな平凡な教師がこんなニュースになるような最後を迎えようとしているなんて……。


炎がオレの服に包み込み、炎がオレの服に燃え移ったとき、オレは必死になってその火を消していた。


逃げ道もない助けも来ない今の状況は、まさに絶望的な地獄だった。


オレには迫りくる死を振り払う術が何もない。


時間の経過と共にオレはこの炎に焼かれてしまうに違いない。


最悪の未来ばかりがオレの頭をよぎっていったが、オレはその予測を覆すことができなかった。
< 154 / 294 >

この作品をシェア

pagetop