カウントダウン
(忍だ……。

どうして忍がここにいるの?

どうしてそんな目で、忍は私をにらんでいるの?

逃げなくちゃ……。

そうじゃなきゃ、私はきっと殺される!)


私の背後に立っていた忍は額から血を流し、白色のセーラー服を血で赤く染めていた。


そんな忍の姿は、きっと忍が事故で死んだときそのままだ。


忍は悪霊になってまで、私のことを殺しにきたのだ。


私は忍から逃れるために、忍に背を向け、足を前に踏み出した。


でもそのとき、忍の冷たい手が私の右手首を強くつかんで、自分の方へと引き寄せていた。


私は忍が手を引く強い力によろめき、一歩後ろに下がったとき、血にまみれている忍に抱きつかれた。


私がその事実に恐怖し、体を硬直させ、声も出せずにいると、忍がものすごい力で私の体を引っ張り始めた。


体の自由を奪われたパニックの中で、私が恐怖に顔をひきつらせ、体を引っ張れている方に目を向けたとき、暗く静かに広がっているお堀が見えた。


それを見た瞬間、私の頭の中に最悪の未来がよぎり、私は恐怖に怯えながら、甲高い悲鳴を上げていた。
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