カウントダウン
「私ね、今度こそは忍の本当の気持ちに気づきたいって思ってる。

忍はあの三年二組の教室で、何を思い、何を感じて、どんな願いを持っていたのか。

忍の遺書にきっとそれが書いてある。

だから、どうしても見つけなくちゃ。

忍の遺書を……」


普段、誰とも話さなかった忍の気持ちは、きっと誰にもわからないはずだった。


人は自分の思いを言葉にしないと、誰にも思いを伝えられないのだ。


忍の遺書には忍の声にならなかった思いが、文字として残っているはずだった。


正直、自分たちが忍にどう思われていたかを知るのは怖い。


でも、そこから目をそらしてはいけないと私は思う。


忍の呪いを終わらせるに。


私がそんなことを思いながら、スマホを強く握りしめたとき、スマホから雄一の優しい声が聞こえてきた。


「梨花、オレたちで忍の遺書を探そう。

それで、死んでしまった忍の思いを見てみよう。

目をそむけたいことから目をそむけずに、しっかりとこの目で忍の思いを見てみよう」


「ありがとう、雄一君。

雄一君なら、きっとそう言ってくれると思ってた。

私と雄一君で忍の呪いを終わらせよう」


雄一が味方でいてくれることで、私は忍の呪いから救われるような気がしていた。


雄一ならきっと忍の遺書を見つけてくれる。


そんな風に思えたから。
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