カウントダウン
服を着替えた私は鏡で自分を見た後に、玄関へと歩き出した。


父と母は仕事に出かけ、今、家にいるのは学級閉鎖で学校を休んでいる私だけだった。


(忍の家に着いたら、案外すぐに忍の遺書が見つかるかもしれない。

でも、どうして忍の遺書は今まで見つからなかったんだろう?

普通なら簡単に見つかっているはずなのに……)


玄関に着いた私は靴を履きながら、忍の遺書が見つからなかった理由を考えていた。


忍は父親と二人暮らしなはずだから、もしかしたら忍の父が忍の遺書を隠しているのかもしれなかった。


だとしたら、忍の父は何のために忍の遺書を隠すのだろう。


そんなことをする理由は何もないはずなのに……。


私がそんなことを思いながら靴を履き終えたとき、誰もいないはずの私の家で、不気味な女の声が聞こえてきた。
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