カウントダウン
目線を上げた先に東野雄一はいた。


そして雄一のとなりにはいつものように芦田梨花が立っていた。


私が惨めな思いをしているのを雄一はどう感じているかなんて考えている私はバカだ。


だって雄一の意識は私にはないのだから。


雄一は楽しそうに芦田梨花と話しているのだから。


私がいじめられているときに楽しそうに笑っている芦田梨花が憎かった。


もしも願いが叶うならば、自分と梨花を入れ替えたい。


私はいじめられっ子の杉田忍じゃなくて、いつも雄一と楽しそうに話している芦田梨花になりたいのだ。


小柄だけどスタイルが良くて、誰からも好かれる芦田梨花。


彼女は私と真逆の世界に住んでいる。


私と同じ年で、同じ学校に通い、同じクラスにいるのに……。


あんな幸せそうなヤツはどうしようもない絶望の中で死ねばいい。


どうして私は芦田梨花に生まれてこなかったのだろう?


もしも芦田梨花に生まれていれば、私は欲しいものをたくさん手にすることができたのに……。
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