カウントダウン
「ドアを開けて中を見てみよう」


「でも、大丈夫?

勝手にそんなことをしても……」


「今はどんなことよりも忍の呪いを解くことが優先だ。

梨花は何も心配することないから。

オレが絶対に忍の遺書を見つけるから」


私はそう言った雄一に微笑んだ。


私が忍に呪いをかけられるまで、雄一がこんなにも頼りになる人だとは思っていなかった。


私は真面目で優しい雄一がそれだけではないことを知れてうしかった。


「それじゃ、ドアを開けるね」


雄一がそう言った言葉に私はうなずき、雄一は玄関のドアをゆっくりと開けた。


そして私たちがアパートの中をのぞき見ると、部屋の中から少し嫌な匂いがした。


テレビの音はさっきよりも鮮明に聞こえ、奥には誰かがいる雰囲気がやっぱりしていた。


忍の父はここにいる。


私はそのことに期待して、雄一と共に玄関へと入っていった。
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