カウントダウン
「宮国中学の生徒とか言ってたな。

忍が死んでだいぶ経つのに、今さら何の用事があるんだ?」


忍の父の物言いは、私たちを少しも歓迎していなかった。


おそらく忍のアパートに来たクラスメイトは私たちが初めてだし、私が忍の立場だったら、友達を絶対にここには連れてこない。


忍の父がひげ面で汚ならしい格好をしていられるのは、きっと仕事をしていないからだ。


私がそんな忍の父に話しかけるのをためらっていたとき、雄一は真剣な顔つきで忍の父に話しかけていた。


「オレたちは探し物をしているんです。

その探し物がきっとここにあると思って、今日はここに来ました」


雄一は強い口調でハッキリと忍の父にそう言った。


普段は大人しい雄一がそんな態度を取るのは私のためだ。


私はそんな雄一の優しさに胸が熱くなっていた。
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