カウントダウン
「私は幸せなお前が嫌い。

お前なんて死ねばいい」


忍は低く不気味な声で私に言った。


私は間違いなく忍に憎まれていた。


私は忍に悪意を向けたことが一度もないのに……。


私は忍の不幸を願ったことなど一度もないのに……。


(憎しみのこもった目で私をにらむ忍が怖い……。

血まみれのセーラー服、頭から血を流した青白い顔。

忍の時間は忍が事故で死んだあの日から止まっている。

忍が自殺するほどに追い詰められていたあの最悪の日から……)


「カウントダウン……」


忍は私をにらみながら、不気味な声でそう言った。


私は体を動かせず、逃げることもできない不安の中で、忍を見つめながら、忍の言葉を聞いていた。
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