カウントダウン
結依は志織に生まれ変わって、初めての恋をした。


本当は嫌われものだった結依が大好きな人に愛されるなんて、奇跡みたいな夢の物語だ。


いつも嫌われものの自分から変わりたいと思って変われずにいた結依の気持ちを思うと、私は思わず泣いてしまう。


そして私は誰よりもこの結依という女の子を幸せにしてあげたいと思ってしまうのだ。


だって結依は、物語の世界にいる私だから。


結依の未来が私の未来で、結依の幸せが私の幸せだから。


私は悪魔と契約を結ぶという過ちを犯してしまった結依を、本当は幸せなままに物語を終わらせたかった。


でも、奇跡の魔法はやっぱり解ける。


結依はどうしても志織にはなれなかったのだ。


悪魔と契約を結んでいた結依は最後に悪魔に魂を奪われて地獄に落ちてしまうが、それでも結依は幸せだったんじゃないかと私は思う。


結依は素敵な夢を見れたから。


自分が変われる夢を見たから。
< 249 / 294 >

この作品をシェア

pagetop