カウントダウン
私はお母さんになぜ家を出ていったかを聞かなかった。
きっとそれを聞いたらお母さんは悲しむし、もうお母さんが私たちの家に帰ってくることはないと思っていたから。
ほんの少しだけ、きっと今日だけがお母さんと話せる日なんだと思ったとき、私はお母さんとなるべく明るい話をしたいと思った。
大嫌いだとずっと思っていたお母さんだけど、私はお母さんを悲しませたくないし、お母さんに余計な心配をして欲しくなかったから。
だけど、いじめられっ子の私は学校で楽しいことなんて何もないし、私には友達だって一人もいない。
そんな私にお母さんをよろこばせる会話ができるかしらと思ったとき、私は小説投稿サイトにコツコツと書いた物語のことを思い出した。
私は子供の頃にお母さんに読み聞かせてもらった絵本の話をした後に、最近は自分でも物語を作ってみたとお母さんに伝えていた。
お母さんに会うのは今日が最後かもしれないし、それならば今の自分のことをたくさんお母さんに知って欲しいと思ったからだ。
お母さんは笑いながら私の話を聞いてくれて、私に「忍はすごいのね」と言ってくれた。
私はそのとき、言葉には出さなかったけど、お母さんの言葉がすごくうれしかった。
人から褒められることのない私だから、お母さんの褒め言葉に心が震えた。
私の唯一の味方だったお母さん。
それなのに、どうして私を捨てて、あのアパートを出ていってしまったのだろう……。
もしもあの日に戻れたら、私はお母さんを引き止めるのに……。
きっとそれを聞いたらお母さんは悲しむし、もうお母さんが私たちの家に帰ってくることはないと思っていたから。
ほんの少しだけ、きっと今日だけがお母さんと話せる日なんだと思ったとき、私はお母さんとなるべく明るい話をしたいと思った。
大嫌いだとずっと思っていたお母さんだけど、私はお母さんを悲しませたくないし、お母さんに余計な心配をして欲しくなかったから。
だけど、いじめられっ子の私は学校で楽しいことなんて何もないし、私には友達だって一人もいない。
そんな私にお母さんをよろこばせる会話ができるかしらと思ったとき、私は小説投稿サイトにコツコツと書いた物語のことを思い出した。
私は子供の頃にお母さんに読み聞かせてもらった絵本の話をした後に、最近は自分でも物語を作ってみたとお母さんに伝えていた。
お母さんに会うのは今日が最後かもしれないし、それならば今の自分のことをたくさんお母さんに知って欲しいと思ったからだ。
お母さんは笑いながら私の話を聞いてくれて、私に「忍はすごいのね」と言ってくれた。
私はそのとき、言葉には出さなかったけど、お母さんの言葉がすごくうれしかった。
人から褒められることのない私だから、お母さんの褒め言葉に心が震えた。
私の唯一の味方だったお母さん。
それなのに、どうして私を捨てて、あのアパートを出ていってしまったのだろう……。
もしもあの日に戻れたら、私はお母さんを引き止めるのに……。