カウントダウン

「八年間、忍に会ってなかった私が言う資格はないのかもしれないけど、忍には幸せになって欲しいと思っていた。

忍が幸せになってくれれば、私が忍を裏切った罪もいつか消えてくれると思うから。

せめて私が偶然、忍に会ったあのときに、忍が私に助けを求めてくれれば良かったのに……」


「明恵さん、オレたちは知りたいんです。

忍さんの遺書がどこにあるかを……。

そこに書かれているはずの、言葉にならなかった忍さんの思いを……。

明恵さん、教えて下さい。

忍さんの遺書がある場所ってどこですか？

忍さんの大切な場所ってどこですか？」


私たちが一番知りたかったその問いかけに、明恵は少しだけ微笑んだ。


そして穏やかな顔で私たちに話し始めた。