カウントダウン
「明恵さん、ありがとうございます。

忍さんの大切な場所を教えてもらえて」


私は明恵にそう言って、深く頭を下げていた。


もしも明恵がいなかったら、忍の居場所がネットにあることを私はずっと気づけなかった。


リアルな生活で満足していた私には、ネットの中に私たちが知らない忍がいるなんて、想像もできなかった。


「明恵さん、今日はありがとうございました。

オレたちは今から忍さんの遺書を探してみます。

忍さんが何を思っていたかを見てみます」


「礼なんていらない。

私こそあなたたちに感謝しているの。

八年ぶりに忍を知っている人と忍の話ができたから」


明恵はそう言って笑っていた。


そして明恵は会計を済ませると、静かに店を出ていった。
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