カウントダウン
私はずっとクラスのみんなを恨み、憎んできたけど、本当はみんなが羨ましかった。


楽しそうに笑って、話をして、友達がいて。


それって、私にはできないことだ。


夢みたいな奇跡が起きて、私が別人にでもならない限り絶対に無理なことだ。


私は幸せそうなみんなを恨んだり、憎んだりしながら、自分が自分以外の誰かになれることを心の中で願っていた。


それで自分以外の誰かになれた私が、みんなと友達になることを心の中で願っていた。


もしもそんなことを口にしたら、みんなは私を笑うだろう。


でも私は普通の中学生になって、この三年二組の教室の中に自分の居場所を作りたかったのだ。


それはみんなには簡単なことなのかもしれないけど、私にはどんなに願っても叶わない夢だ。


もしも自分が変われたら。


私は自分の席でうつ向きながら、呪文のようにその言葉を唱えていた。


悪魔でも死神でもいいから、こんなダメな自分を変えて欲しいって、何度も何度も願っていた。
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