カウントダウン
教室内でヒソヒソ話が終わらない中、教室のドアが開き、担任の梅田先生が入ってきた。


梅田先生は二十代後半の若い数学の教師で、女子生徒の中で人気があった。


そんな梅田先生が教壇の前に立つと、教室内のヒソヒソ話も収まっていき、康孝は貴史の席を離れて自分の席へと戻っていった。


私はもう少し貴史が取り乱した様子を見ていたかったけど、そんな非日常的なイベントも終わりらしい。


私は貴史から目をそらし、梅田先生に目を向けた。


ホームルームが始まる時間。


私はまた日常に戻っていく。


そう思っていたのに……。


教壇の前で梅田先生が話し始めたとき、もう落ち着いたかと思っていた貴史が急に席を立ち、声を張り上げ、みんなに言った。
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