カウントダウン
「おい、柳田。

何を言ってるんだ?

早く席に座れ。

ホームルームを始めるぞ」


梅田先生は普通ではない様子の貴史に強めの言葉をかけていた。


そして、そんな梅田先生の表情にはクラスにもめ事を持ち込もうとしている貴史への非難がありありを浮かんでいた。


「忍の呪いを解くには忍の遺書を見つけること。

その遺書には忍がみんなに伝えたかった何かが書いてあるはずなんだ」


「柳田、静かにしなさい。

クラスを混乱させるようなことをそれ以上、言わないこと!」


「なぁ、みんなも探してくれよ。

忍の遺書を!

じゃなきゃ、オレは死ぬんだ!

忍の呪いで殺されるんだ!」


クラスの全員が貴史に関わることを嫌がり、貴史が早く黙ってくれるのを待っていた。


杉田忍の死は事故死。


みんながそれで収まることを心から願っていたから。


私は一番後ろの席にいる貴史の方を振り返り、怯えた顔をしている貴史をみっともないと思っていた。


忍がいじめで苦しんでいたとき、先頭をきって忍をいじめていたのは貴史なのに……。
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