カウントダウン
【清水美保子side】

私は昨日、杉田忍の夢を見た。


陰キャ眼鏡というあだ名つけられ、クラス中からいじめられていたイケていない女の夢だ。


忍は夢の中で私の幸せを妬み、自分を汚ないゴミでも見るような目で見ていたお前に復讐すると言ってきた。


それを聞いて、私は陰キャ眼鏡の忍のくせに何を言ってるの？　って、正直、思った。


私はあんな底辺な存在の奴を相手にしたことはなかったし、あいつへのいじめに参加したこともなかったからだ。


私はあんな低俗な人間と話をしたいと思わない。


私はあいつとの境界線をハッキリと作って、あいつとは決して交わらない世界で生きていきたいと思っているのだ。


私がそんなスクールカースト底辺の忍に追い詰められる嫌な夢からようやく覚めたとき、今度は忍の幽霊が不気味な顔で私を見下ろし、枕元に立っていたのだ。


私はそんな忍と目が合いゾッとして、心臓がドキドキと音を立て始めていた。


忍は頭から血を流し、血まみれのセーラー服を着て、私にこう話しかけてきたのだ。


「私はお前のことが大嫌いだ。

お前を知った日から今日までずっと……」


私はまばたき一つしない忍の不気味な顔が恐ろしくて、反射的に悲鳴を上げようとしたけど声が出ない。


それどころか、私は強烈な金縛りにあって、瞳以外の体の部分を少しも動かせなくなっていた。
< 56 / 294 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop