カウントダウン
「来ないで……」


そう言ってベッドから立ち上がった私を母と看護師が驚きながら見ていた。


二人には私が誰と話しているかがわかっていない。


すぐそこに血まみれのセーラー服を着た忍がいるのに。


私は自分が感じている恐怖を誰にも理解されない状況の中で、忍から少しでも離れるために後ずさりを始めていた。


「おかしいよ……。

何でそんなに私が憎いの?」


私のその言葉を無視するように、忍は私に近づくのを止めようとはしなかった。


「私の他にいるじゃない……。

貴史とか愛美とか……」


私は忍の憎しみを他にそらそうと、必死に忍に話しかけたが、忍からの反応は何もなかった。


そして後ずさりを続けていた私の背中が壁にぶつかり、私はもう後ずさりもできなくなった。


もう忍からは逃げられない……。


そんな最悪の状況の中で、私は想像もしたくないような悪夢が近づいてくるのを待つことしかできなかった。
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