カウントダウン
(オレはいじめられている忍の顔を見るのが好きだった。
不細工でいいとこなしの忍がまるでこの世の終わりみたいな顔をしてうつむいているのを見ると、オレは忍じゃなくて良かった、オレはこんな奴よりもずっと幸せだって思えて……。
そんな忍がオレに復讐してくるなんて、想像もしていなかった。
あいつはストレス解消のサンドバッグで、オレが一方的に攻撃するだけだと思っていたのに……)
オレは教室内で仲間たちと忍をバカにして遊んでいたときのことを思い出していた。
そしてそんな何の生産性もない行為がオレの中で最高に楽しかったことも。
自分より下の存在がいると思うと、自分が偉くなったような気がしてうれしかった。
忍と自分を比べると、自分は優秀だと錯覚できた。
自分よりも優秀な人がいる高いところに目を向けると、低い位置にいる自分に気づいて憂鬱になる。
だからオレはずっと下ばかりを見ていたんだ。
最底辺にいる忍と自分をずっと比べていたかったんだ。
いろんなことを考えながら走り続けたオレは車の行き来が少ない国道に来ていた。
そしてその国道の前でオレがようやく立ち止まったとき、この場所が忍の死んだ事故現場だということにハッと気づいた。
不細工でいいとこなしの忍がまるでこの世の終わりみたいな顔をしてうつむいているのを見ると、オレは忍じゃなくて良かった、オレはこんな奴よりもずっと幸せだって思えて……。
そんな忍がオレに復讐してくるなんて、想像もしていなかった。
あいつはストレス解消のサンドバッグで、オレが一方的に攻撃するだけだと思っていたのに……)
オレは教室内で仲間たちと忍をバカにして遊んでいたときのことを思い出していた。
そしてそんな何の生産性もない行為がオレの中で最高に楽しかったことも。
自分より下の存在がいると思うと、自分が偉くなったような気がしてうれしかった。
忍と自分を比べると、自分は優秀だと錯覚できた。
自分よりも優秀な人がいる高いところに目を向けると、低い位置にいる自分に気づいて憂鬱になる。
だからオレはずっと下ばかりを見ていたんだ。
最底辺にいる忍と自分をずっと比べていたかったんだ。
いろんなことを考えながら走り続けたオレは車の行き来が少ない国道に来ていた。
そしてその国道の前でオレがようやく立ち止まったとき、この場所が忍の死んだ事故現場だということにハッと気づいた。