カウントダウン
もしも私に人を呪う力があるのなら、梅田先生を絶体絶命の危機の中に落とし込み、必死に助けを求める梅田先生を誰も助けないような呪いをかけたい。


そして梅田先生が誰からも助けてもらえずに死んでいくとき、私は梅田先生の必死な顔を見ながら、腹がよじれるほどに笑ってやりたい。


梅田先生は人に好かれる性格だから、自分がピンチのときに誰からも助けてもらえないなんて夢にも思っていないだろう。


もしかしたら梅田先生は定年まで教師の仕事を続け、弱い立場にいる生徒を助けもしなかったくせに、立派な先生だったと評価されて退職していくのかもしれない。


だけど、そんなことは絶対に嫌だと私は思う。


梅田先生がどんなに生徒から好かれようと、私はあの人が本当に嫌いなのだ。


もしも梅田先生が私を助けてくれたならば、私は今とは違う中学生生活を送れていたかもしれないのに……。
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