カウントダウン
『梅田大翔。

私はお前が憎い。

だから私はお前を呪い殺す。

カウントダウンは止まらない』


まるでさっきの悪夢の続きを見ているかのようなメッセージがラインのトークに書かれていた。


これは本当にあの死んだ杉田忍がオレに送ってきたメッセージだろうか?


だとしたら呪いは本物?


オレは杉田忍に呪われている?


いろんなパターンの嫌な思いがオレの胸の中で行き来する中、忍から次のメッセージがオレのスマホに送られてきた。


オレはそのメッセージを見ながら、そのメッセージの意味を考えていた。


『もしも呪いを解きたいのなら、私が書いた遺書を探せ。

その遺書には呪いを解くカギがある。

私の思いがそこにある』


忍へのいじめがあったことを知っていたオレは、忍が死んだとき、忍の遺書が出てくることを恐れていた。


もしも忍の遺書が出てきたなら、自殺するほどのいじめがクラスにあったということで、当然、オレが周りから責められるからだ。


忍がトラックに跳ねられて死んだと聞いたとき、オレは忍の死を直感的に自殺だと思っていた。


そしてそのことが世間に知れ渡る恐怖の中で、忍の遺書が見つからないことを心から願っていた。


結局、忍の遺書は最後まで見つからず、忍の死は事故死と判定された。


オレはそのことに安堵し、世間が忍の死を早く忘れることを願っていた。


それなのに、今さら遺書を探せなんて……。


遺書が見つかれば、オレの立場は悪くなるのに……。


オレは再びスマホを手放して、漠然とした不安を抱えながら、柳田貴史と清水美保子の死について考えていた。


二人の不自然な死は忍の呪いだというウワサが学校中で立っていた。


確かにあの二人は死の直前に忍を恐れていたということを宮国中学の生徒は知っている。


でも、本当に呪いなんて存在するのだろうか?


オレはそんなことを思いながら固く目を閉じ、忍の呪いがウソであることを願っていた。
< 95 / 294 >

この作品をシェア

pagetop