都合のいいふたり
「ねぇ、涼介は前の彼女と、どうして別れたの?」

「プライベートの質問、禁止。」

「ずるーい、私の話聞いたくせに。」

「それは、あゆが勝手に話したんだろ。」

そうだけど、自分が辛い時は、人の失恋話も聞きたくなるものだ。
辛いのは自分だけじゃないって思いたい。

「俺の場合は、浮気された。」

「えっ、彼女が?」

「そう。だから浮気し返した。」

「うわっ、最悪。」

「一度は元鞘に戻りかけたけど、結局はお互い、信用できなくなって別れた。」

「それはそうなるよね。」

「でも、あゆだって、今俺と暮らしてるのを男から見たら、浮気以上だと思うけど。」

転がり込んできた人が言うセリフか!

「涼介に言われたくはないけど。確かに、今日、高校時代の男友達と同居してるって言ったら、『軽い女』って、言われた。」

「そいつ、最低だな。自分は奥さんいるくせに。今どき、シェアなんて普通のことだしな。」

「うん、本当に最低。」

「でも好きだったんだろ?・・・まだ好き?」

「うーん、分かんない。涼介と話したら、ちょっとスッキリした気もするけど、心に穴が空いてる気もする。」

「俺も、別れてすぐはそうだったかも。別れたことは後悔しなかったけど、それでも落ち込んだ。」

「私なんて、ホヤホヤだから。」

「よしよし。」と頭を撫でられた。
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