都合のいいふたり
月曜日の朝、仕事へ行くためにリビングに下りる。
準備はほぼ完璧だけど、朝のコーヒーは飲みたい。

なるべく音を立てないように、できれば涼介と顔を合わさないようにと階段を下りたけど、無駄だった。

階段の下で、涼介が立っている。

「おはよう。」

流石に無視する訳にはいかない。
でも、ここは私の家だよね。
何で、私がここまで気を遣わなくちゃならないの!

「おはよう、あゆ、いつもより早くない?」

「そうかな。いつも通りだけど。」

「そんなに俺と会いたくなかった?」

「そうじゃないけど・・・。」

「普通、同じ家にいずっといて、2日も会わないなんてことあるか?」

「たまにはそういう時もあるんじゃない?私は疲れてたのか、ずっと寝てたし。」

「ご飯も食べずに?俺、この家出て行くつもりないから、鍵だって返さない。」

「別に出て行ってなんて言ってないよ。」

「そう?あゆ、そのうち言い出しそうだと思って、俺、悩んでたのに。」

「言わないよ。」

「それ聞いて安心した。コーヒー落としたから、一緒に飲もう。」

コーヒーを飲もうとしてたんだ。
居候のくせに!

「ありがと。」
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