都合のいいふたり
私は、仕事から帰ると夕食をとった後、リビングのソファで安いワインを飲みながら寛ぐのが好きだ。

この習慣は昔から変わらない。
以前は、そのまま寝てしまうこともあった。
今は嫌でも起こされる。

そこに最近「涼介の遅い夕食に付き合う」という、もう一つの習慣が加わった。

「ピンポーン」とチャイムがなった後、「ただいま。」と涼介の声が聞こえる。

涼介は鍵を持っているけど、帰って来ると必ず、一度はチャイムを鳴らす。

彼なりの気遣いらしいけど、その後、すぐに玄関のドアを開けるのであまり意味がないとは、まだ言っていない。

涼介は自分の部屋で部屋着に着替えた後、コンビニで買って来たビールとお弁当を私の隣で食べ始める。

「お疲れ様。」

「お疲れー。」

缶ビールの蓋を開けると、私のグラスに軽く当てる。これもお決まりだ。

一度「キッチンのテーブルで食べなよ。」と言ったことがあるけど、「テレビが見たい。」と言って断られた。

涼介は大抵、コンビニのお弁当を食べている。
時々、私は作ったカレー裾分けをすると、翌日の夕食にしている。

わざわざ、夕食のメニューを連絡をするのは、同居人としてはルール違反だから、カレーがあることは帰った時に伝える。
その時には、もう彼の手にはコンビニのお弁当が用意されている。

同居人の夜の予定は「プライベート」なことだから。
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