都合のいいふたり
涼介は、私のことをどう思っているのだろう。
やっぱり、何を考えているか分からない、面倒くさい女なのかな。

あの夜、私を抱いてしまったばっかりに、責任を感じて優しくしてくれるのだろうか。

涼介は、高校の頃から優しかった。
誰にでも分け隔てなく接して、同じクラスになった時は、人との距離を取りがちな私にも普通に話し掛けてくれたのが嬉しかったのを覚えている。

私はみんなの輪に溶け込むことが出来たし、今でも同級生同士の繋がりがあるのは、涼介のおかげだ。

でももし、涼介の優しさで今の生活が成り立っているのなら、私は絶対に涼介を好きになってはいけない。

だって、涼介とはこの同居生活には、プライベートは持ち込まないと約束しているのだから。それを破ってしまったら、終わってしまう。

私は、今の生活を失いたくない。この温もりある家を手放したくはない。
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