都合のいいふたり
私の予感は的中しようとしている。

今日、帰りに涼介が知らない女性と歩いているのを見た。その女性が誰なのか私は何も知らない。

通りの向こう側を歩く二人は、私の存在には気付いていなかった。それぐらい、二人はお互いに夢中で楽しそうに見えた。

家に帰って来ても、何もする気になれない。
だからと言って、私に涼介を問いただす権利などない。

今まで期待せずに生きてきたのに、涼介との生活は期待を超えて、日常になってしまったから、私の心は今までのどんな裏切りよりも、深いダメージを負っていた。

私は一人でいた頃からの習慣だったワインを飲む気にもならず、2階の自分の部屋に籠った。

涼介はまだ帰って来ない。
早く帰って来て欲しいという思いと、帰って来てしまったら、終わりを告げられるんじゃないかとの不安で、混乱する。

もし、神様がいるのなら、時間を半年前に戻して欲しい。
涼介と「友達」だった頃に、涼介の家が火事にならないように、私がちゃんと火を消しに行くから。
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