都合のいいふたり
「早く帰って、男らしくあゆちゃんのこと大切にしてあげなさい。私は、あゆちゃんみたいな可愛い娘が持てると思うと幸せだわ。」

「母さん、気が早いよ。」

「あんた、そのつもりじゃないの?」

「そのつもりだけど。」

「じゃあ、さっさと帰って頑張ってね。母さんのためにも。」

俺は追い出されるように、実家を出た。
普通は久しぶりの息子に会ったんだから、もうちょっとゆっくりさせるだろうと思いつつ、母さんに感謝した。

東京へ戻る途中、パーキングエリアに寄った時、あゆへ電話をする。

「もしもし、俺だけど。体調はどう?」

「ありがと、大丈夫だよ。どうしたの?」

「今、家?俺はあと1時間ぐらいで帰るんだけど、話があるから、家にいて欲しいなと思って。」

「話って何?」

「大事な話だから、帰ってからちゃんと話すから。じゃあ、後で。」

俺は電話を切ると、また東京へと車を走らせた。
全てがうまくいくような気がしてきた。
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