都合のいいふたり
判り難い告白
涼介がわざわざ電話をして来て、「大事な話がある。」と言った。

いよいよ、私の恐れていたことが現実になる時だ。

私は冷静に涼介を送り出すと覚悟を決める。
泣くのは一人になってからだと心に強く誓うのに、涙が溢れてくる。

幸せ過ぎたこの半年間が、前よりももっと、私を寂しさへと追い込んでゆく。

目を閉じると、瞼の向こう側に涼介との時間が鮮明に映し出される。

突然の涼介からの電話。
二人で飲んだワイン。並んでみたDVD,
流した涙。二人で過ごした初めての夜。
映画は観れなかったけど、初めてのデート。
涼介を想って泣いた夜。

全てが私にとっては初めての経験だった。
こんなに感情が動いたことなんてなかった。

また、一人に戻った時、私はどうなってしまうのだろう。

お母さんが亡くった時のように、時間が解決してくれるのを、じっと待つしかないのだろうか。

悲しむよりも、こんな素敵な時間を与えてくれた涼介に感謝しなければ。

最後ぐらいは、ちゃんと気持ちを伝えよう。

私の中でいろんな思いが行ったり来たりして、到底、気持ちの整理なんて出来そうにない。
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