都合のいいふたり
「大丈夫!?キッチンじゃなかったら、大惨事だったよ、今のは。」

私の予感は的中していたらしい。
涼介はまだゲホゲホと咳き込んでいる。

「新しい家見つかったの?」

「あゆは何を知ってるの?」

もう、確定だ。

「何も知らないよ。ただ、そう思っただけ。」

「いつまでも居候じゃ、前に進めないと思って。だから、家を借りた。」

「二人で住むの?」

私は、涼介と並んで歩いていた女性を思い浮かべる。

「正直、二人で住むには狭いかもな。ここみたいにはいかない。」

「ここから遠いの?」

できれば、私の行ったことのない街であって欲しい。

「えっ、近くだよ。ここのベランダから見えるぐらい。」

涼介がこんなに無神経だとは知らなかった。

「どうして、そんなに近い所にするのよ!」

「どうしてって、その方が便利だろ。」

「何がどう便利なの?」

「だから、こことの行き来が。」

無神経もここまで来ると馬鹿としか思えない。

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