都合のいいふたり
俺達はお互いの温もりを確かめ合いながら眠った。

ふと、目を覚ますとあゆが俺をじっと見ている。

「今、何時?」

「もうすぐ6時。」

「今日が休みなら、ずっとこうしていられるのにな。」

「だめだよ、仕事には行かなきゃ。」

「承知しました。ご主人様。」

そう言いながら、俺はあゆを抱きしめ直す。

「ねぇ、新しい家にはいつ引っ越しするの?」

「引っ越しかぁ。考えてなかった。」

「えっ?」

「俺にとっては、家を借りることが重要だったから。でも、折角借りたんだし、週一ぐらいは向こうで過ごすか?」

「残りの6日間は?」

「えっ、ここに決まってるだろ。」

「じゃあ、何のために借りたの?」

「そこは、男のプライドだろ。」

「プライドのために家賃を払うの?勿体ないよ。」

昨日のあゆは何処は行ったんだろ。
女は現実的な生き物だ。
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