藍先輩の危険な溺愛レッスン。
だけど彼はそんな私を慰めるようにもう一度頭を撫でる。


「もうこれでレッスンは終わりにして一緒に泳ごうか」


「ううん、もう帰りたいです」


「そんなの来たばっかりなのにもったいないよ。それにせっかく海に来たのにこのまま帰ったらさっきの嫌な思い出だけになっちゃうだろ」


慰めるような優しい声にドキッとした。


「ん、そうだけど」


確かにこの先、海と言えばナンパされたっていう嫌な思い出だけが残ってしまいそう


「お願い、絶対楽しませるから俺と一緒に海で遊ぼ」


絶対ってやけに自信満々だなって思ったけど、渋々頷いた。


なぜか彼にお願いされると断れそうな気がしない。


でも、それからは先輩が片時も離れずに一緒にいてくれたので怖い思いはしなかった。


「愛菜ちゃん、浮き輪膨らませたよ」


「うん」


そして、その後は本当に先輩の言う通り楽しい時間を過ごせた。


浮き輪につかまってぷかぷか浮いたら先輩が引っ張って泳いでくれたり。


砂で小さいおうちをつくって遊んだり。
< 108 / 332 >

この作品をシェア

pagetop