藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「え？おいそこで黙るなよ」


後ろを歩く先輩の軽口にプウッて頬を膨らませていたら誰かにぶつかってしまった。


「キャッ」


壁のように固くて大きな人。


いけない、先輩の方ばかり見て歩いていたから周りを見ていなかった。


「ごめんなさい、あっ」


慌ててその人に頭を下げたけど、その聞き覚えのある声にギョッとした。


「愛菜ちゃん、おはよ」


「権田さん……」


そのひとはまさしくストーカー男子の権田さん。


相変わらず毎朝のように私が登校するのを待っていて話しかけてくる。


藍先輩に言われた通り精一杯毅然と断っているんだけどあんまり効果がない。


向こうは少しづつ仲良くなってるって思っているみたいで。


「愛菜ちゃん、今日も可愛いね。あの、あの、俺今日は手紙を書いてきたんだ」


いつものように汗をかきつつ必死に話しかけてくる。


「はあ」


ちょっと後ずさりしたら藍先輩の胸にトンってあたった。
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