藍先輩の危険な溺愛レッスン。
まさかそんな答え、予想もしていなくてびっくりした。


「俺とキスしてみる?
キスしたら大抵のことはわかるよ。
愛菜ちゃんの気持ちも」


彼は私の方は見ないように真っ直ぐ前を向いてそう言った。


大胆なことを提案してきたけど、ほんとは照れているのかも。


「……うん」


一瞬の沈黙の後にうなずいた。


でも、うなずいた自分自身にびっくりしていた。


「えっ」


彼もまさか私が素直に同意するとは思っていなかったのか驚いているみたい。


この場合のキスって、以前にしたような触れ合うだけのキスのことじゃないんだろうな、きっと。


「それとも、デートとか」


「うん」


「デートの方が返事が早かったね」


苦笑いして私を見る先輩。


「そ、そうかな」


「じゃあ、デートだな」


先輩はぎこちなくニコッと笑う。


「でもいいの?先輩はさっき教室で話してた人とは」
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