藍先輩の危険な溺愛レッスン。
精一杯頑張って表情筋を動かすけど、普段ひとを睨んだりしたことがない。


だから上手くできてるかどうかわからない。


「……」


先輩は黙ってじっと私を見つめていたかと思ったら、口元に手をやってフッて息を吐いた。


そして肩を小刻みに震わせる。


わ、笑われている? 


「かわい……」


彼は大袈裟にため息をついた。


「そんな可愛い顔されたらますますハマっちゃうだろ。もっとちゃんと睨んで」


「そんなこと言われてもー」


「これはなかなか大変だな」


彼はうーんと考えこむようなしぐさをする。


そして何かひらめいたのか私を見て薄く笑った。


「じゃあ今から俺がせまるから足を踏むとか。なんとか抵抗してみて」


そう言ったかと思うと、耳もとに唇を近づけてくるのでびっくりした。


え?え?どうして?


先輩、こんなことまでして私を鍛えようとしてるの?
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