藍先輩の危険な溺愛レッスン。
彼の手が支えるように私の腰にまわされる。


「待って、休憩させて」


そこでようやく彼の胸を押し返した。


「愛菜ちゃん」


彼を見たら、珍しく頬がうっすら赤くなっている。


「わかった?」


「え?」


「俺への気持ち」


彼への気持ちなんて、どう考えてもひとつしかない。


そうでなきゃこの胸の高鳴りを説明できない。


でもまだ、本当にそうだってわからないから。


はっきりとわかるまでは、私の心の中だけに大切にしまっておきたい。


彼の前で自分を全部さらけだすのが怖いって気持ちもある。


簡単に言えるわけないのに。


「わからないならもう一回」


そう言ってまた抱き寄せようとするから焦る。


これ以上したら絶対におかしくなりそう。


「待って。もう、わかりました」


「なら言って」


「や、そんなの言えない」


「どうして?」


先輩はズルくて意地悪なんだとこの時改めて思った。


私の気持ちなんて、本当は手にとるようにわかっているのかも。


私以上に。


それなのに、私の口から言わせようとしてる。
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