藍先輩の危険な溺愛レッスン。
だって、朝の登校でいつも一緒だけど坂道が辛いから引っ張れとかいうくらいだらけた人なんだもん。


でもズルい……。運動神経も抜群なんて。


こんなギャップ、余計にキュンキュンしちゃうじゃない。


だけど改めて、私は彼のことを何にも知らないような気がした。


ゴールを決めた瞬間嬉しそうに友人とハイタッチしている先輩。


その笑顔の眩しさに見惚れてしまう。


どうしよう、こんなの目が離せないよ。


「愛菜、やっぱり藍先輩ってカッコいいね」


「う、うん」


「愛菜ったら、ずーっと彼のことばっか見てるじゃん」


「そんなことは……」


確かにそう。先輩がボールを持っていてもいなくても彼ひとりに釘付けになってる。


「もう手遅れっぽいね」


「え?なにが?」


「だってもうとっくに彼のこと好きでしょ?」


その問いには答えられなかった。
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