藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「今だけ、何かあったらいけないから」


「うん」


夜道を歩くだけなのに、大切に守られている。


こんなの嬉しくないわけない。


先輩は少し過保護なところがあるのかもしれない。


私がちょっと泣きそうな顔をしただけで気にかけてくれていたし。


「さっきの話なんだけどさ、やっぱり俺が視聴覚教室でその……」


彼は言いにくそうにして目線を落とした。


「ああいうことをしたからかなって」


もしかしたらキスしたことを言っているのかな?


でもこれってなんて答えたらいいのかな。


別にキスをされたから落ち込んでいたわけじゃないよって正直に言うべきかな。


「ごめん、暴走しすぎた」


彼は足を止めて気まずそうに私を見つめる。


「あ、いや、うんそだね」


謝られるなんて思っていなくて咄嗟に曖昧な返事をした。


「怒ってる?」


不安そうに揺れる瞳にドキッとする。
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