藍先輩の危険な溺愛レッスン。
先輩にごめんねって素直に謝ったら彼はきっと優しく許してくれたはずなのに。


どうしちゃったんだろ、私。


全然、素直じゃないし可愛くもない。


藍先輩が好きって言ってくれた私じゃなくなっちゃったよね。


「きみ、大丈夫?気分が悪いのかい?」


声を出さずにしゃくりあげて泣いていたら誰かに声をかけられた。


見ればスーツを着たサラリーマン風のおじさん。


心配そうにのぞき込まれた。


「大丈夫かい?そこの休憩室でちょっと休む?」


「い、いえ、結構です」


「でも」


親切そうな人だけれどそっとしておいてほしい。


今は誰とも話したくないし泣き顔を見られたくない。


その人に背中を向けて涙をぬぐった。


そしたら聞き覚えのある声が耳に飛び込んできて胸がドキっとした。


「あの……大丈夫ですから。俺、この子の知り合いです」
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