藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「え、あ、そうなんだ。君イケメンだね。彼女と喧嘩した?こんなかわいい子を泣かせちゃだめだよ」


「はい、気を付けます」


急いで振り返るとそこには藍先輩が。


彼は落ち着いた様子でそのおじさんに軽く頭を下げていた。


おじさんは改札の方へ歩いて行った。


2人でそのおじさんの背中をぼんやり見ていて、ようやく顔を見合わせた。


藍先輩は苦笑いしている。


「まったく、愛菜ちゃんは片時も目が離せないな」


「せんぱい」


「こんなところで降りて一人で泣きじゃくって。男に声かけられてさ……」


彼は顔をしかめるけど怒っている風ではなかった。


「ごめ……なさ」


手を伸ばしたら、強い力で引き寄せられてあっという間に彼の腕の中に落ちた。


「だから心配なんだよ」


ため息交じりにそう言ってもっと強く抱きしめられたから目の前がチカチカした。


「先輩」


「悪かったよ」


「えっ?」
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