藍先輩の危険な溺愛レッスン。

「いちゃ……何を言ってるんですか？」


「じゃあ、ここから体育館まで逃げて。俺、追いかけるから。そうだな、ここは放課後の校舎で愛菜ちゃんはしらない男から逃げてるっていう設定で」


「どうして設定まで考えるんですか？」


「その方が楽しいかなと思って俺が」


「……」


「そうだ、出会って１分で一目ぼれしちゃったことにしよう」


先輩はなぜか一人で盛り上がってきている。


「捕まったら最後まで奪われちゃうってことで、そしたら必死で逃げるでしょ？」


「最後まで奪われるってどういう意味ですか？」


「……」


彼は呆れ顔で首を振ってため息をついてみせる。


「じゃあ、ハンデをあげるよ。はいよーいスタート」


パンっと両手を打ち合わせるから仕方なく走り出した。


ここから体育館まではそんなに距離はないし階段を少し降りて２０メートルくらい走ればすぐだ。