藍先輩の危険な溺愛レッスン。
実際そんな状況に遭遇することなんてありえなさそうだけど、まあいいか。


早足で階段を一番下まで下りたら、先輩も歩き始めたところだった。


あれ、先輩ったら歩いているし。


もう捕まえる気なんてないのかな?


よくわからないけど軽く走っていたらすぐ後ろでダンって地面をけるような音がした。


「愛菜ちゃん、ほら早く逃げて」


「きゃあ」


振り返ったら一瞬で階段下にいる先輩と目があった。


うそ、さっきまで階段のずっと上の方にいたはずなのに。


「瞬間移動?」


「いや、飛んだだけ」


ニッと薄く笑っている。


もしや、藍先輩ったら一目ぼれストーカー男になり切っているんだろうか。


「……」


さっき先輩がいた階段の上の方を見上げた。


階段を飛び降りてきたんだ。


何やってるんだかこの人は。


「いくぞー」


「きゃあー」


だけど、彼が軽く駆け出すから逃げるように走った。
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