藍先輩の危険な溺愛レッスン。
彼は不満げだけど口ほどには怒ってはいなさそう。


「撫でてあげるから」


クックって鈴のように優雅に笑いながら彼の頭を撫でようとしたので、胸の奥がズキッと疼いた。


「ま、待って」


後から考えたらこの時凄く恥ずかしい行動をしちゃったんだけど、その時は必死だった。


彼の腕を引っ張ると雪乃さんから引き離していた。


「どこ?ここ?」


つま先たちに背伸びをして先輩の頭を急いでグリグリと撫でた。


確かに小さいたんこぶになってるかも。


「いたいよ愛菜ちゃん」


「ごめんなさい」


「もっと優しく」


「はい、こうかな」


今度はもう少しそっと撫でてあげた。


「うん、幸せ」


先輩はおどけたようにニコッと笑う。


それから目が合うと微笑んだ。


「フフ、仲がいいんだね」


その声にハッとして手を引っ込めて振り返った。


そうだ、私彼女に用事があって来たんだった。
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